一川防衛相の交代論が与党内に広がり、野田首相の判断に注目が集まっている。一川
氏の早期更迭に動けば任命責任を問われ、求心力が低下する懸念もある。当面、続投
させた場合、公明党など野党が態度を硬化させ、社会保障・税一体改革に関する与野
党協議は進まなくなる。首相は難しい判断を迫られている。民主党平野博文国会対
策委員長は2日の記者会見で「不適切な発言はあったが、本人も陳謝しており、見守
りたい」と述べた。党執行部は、今のところ一川氏を擁護している。参院で野党が多
数を占めるねじれ国会で、首相は特に公明党に配慮した発言をしてきた。一川氏に対
する問責決議案が公明党主導で進められたことは、首相にとって痛手だ。与党内から
「一川氏の辞任はやむをえない」との見方が出ている大きな理由となっている。

 

党内融和を目指して入閣させたはずが、野田政権の足を引っ張る閣僚となった一川防
衛相。小沢グループへの配慮からか、野田首相も擁護してきたわけだが、防衛相とし
ての資質に欠けるばかりか、不適切な発言や行動を繰り返してきた。会談した仲井眞
知事に「大変お忙しい防衛相がこういう時間に飛んできて、局長の更迭、事務次官
先日来て、素早く手を打っていることは多とするが、県民の尊厳、気持ちをかなり深
く傷つけ、私も怒りを覚える。極めて遺憾だ。県民との信頼回復に全力を挙げていた
だきたい」と突き付けられ、普天間基地の移設問題は完全に暗礁に乗り上げた格好で
ある。今のままでは何も進まないまま時間だけを費やすことになる。安全保障の素人
では無く、まともに向き合える後任を考えるべきであろう。