一川保夫防衛相は6日午前の記者会見で、自らの進退について「与えられた職責をし
っかりと務めていきたいとの思いでいっぱいだ」と述べ、辞任する考えのないことを
強調した。自民、公明両党が自身への問責決議案を提出する方針であることに対して
も「防衛相としての本来の責任を問われるような致命的なものはないと思っている」
と反論した。防衛相は、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題に絡む前沖縄防衛局長の
不適切発言を踏まえ「当然しっかりした信頼回復への対応をしていく。今回のことを
教訓に沖縄県の懸案事項、負担軽減に最大限頑張りたい」と強調。1995年の米兵
による少女暴行事件の詳細を知らないとした自身の国会答弁に関し、「詳細をそこで
述べるのはよろしくないと判断して、あのような表現になった」と改めて釈明した。

 

沖縄県名護市の稲嶺進市長は記者会見で「沖縄を理解しようとしておらず、担当閣僚
の任にあるべきではない」と切って捨てたわけだが、本人は防衛相としての本来の責
任を問われるような致命的なものはない、と反論している。何とも珍妙な構図だが、
問責決議案は可決される公算であり、そうなってから辞任しても意味は無い。野田首
相は党内融和の象徴として起用した一川氏を擁護する方針であるものの、一方で消費
税率の引き上げといった自ら掲げた課題には、野党の協力が欠かせない。野田首相
任命責任が問われる中、一川氏はどのような決断を下すのだろうか。適材適所と強弁
し続けるには、そろそろ限界がきているようだ。