野田佳彦首相は、来年1月で調整していた公式訪米の見送りを決めた。複数の日米関
係筋が明らかにした。来年11月の米大統領選に向けた動きが年明け早々から加速す
る米側の事情や、11月のアジア太平洋経済協力会議の際、首脳会談を行ったばかり
であることを踏まえ、双方の日程が厳しい1月にあえて訪米する必要はないと判断し
た。首相は、国連総会やAPEC出席の際、訪米してオバマ大統領と会談したものの、
2国間会談を主目的にした訪米はしていない。そのため、1月の通常国会開会前に民
主党政権初の公式訪米を実現したい考えだった。

 

これと言った「お土産」も無いのに訪米したところで、オバマ大統領に歓迎されるこ
とは無いであろう。オバマ大統領とて支持率が低下し、再選に黄信号が点灯している
のが現状であり、まずは国内に力を注がねばならないのだ。普天間基地の移設問題が
前進せず、TPPの交渉参加にしても、国内では「TPP参加に向けた”事前協議
に入る」とした詭弁で反対派の体面を取り繕い、決意表明すべきところで、言葉遊び
に終始してしまった。これでは、実際に交渉がスタートした後に禍根を残すだけでは
ないか。公式訪米が見送られたことは、そう言った意味で野田首相にとってはプラス
となったかもしれないが、単なる先送りに過ぎないとも言えるだろう。