野田佳彦首相は16日、首相官邸で記者会見し、東京電力福島第1原発の事故をめぐ
り、原子炉の冷温停止状態の達成を宣言する。これに先立ち、政府は同日、首相が本
部長を務める原子力災害対策本部を開き、原子炉の冷温停止状態が達成できたとして、
事故収束に向けた工程表の「ステップ2」完了を決定する。政府は、冷温停止状態の
目標時期について当初は来年1月としていたが、その後、年内に前倒しした。

 

原子炉の冷温停止状態の達成とは言うものの、いったい何を達成したと言うのだろう
か。経済産業省と東電が作成した廃炉工程表の全容では、使用済み核燃料プールの燃
料や、原子炉内の溶融燃料の回収などを3段階に分けて実施し、廃炉終了まで30〜
40年間を要するとの計画が盛り込まれており、廃炉までの道のりはあまりに長いも
のである。この工程表が終わる前に、原子力災害対策本部のメンバーは大半が鬼籍に
入っているのではないか。それほど長い期間がかかるものである以上、軽々しく達成
などと言う言葉を使って欲しくは無いものだ。