野田首相は16日夕、同日開催した原子力災害対策本部で、事故を起こした東京電力
福島第一原子力発電所の原子炉が安定化の目安である「冷温停止状態」を達成したこ
とを確認し、事故収束を目指した工程表のステップ2の完了を宣言した。当初の予定
より1か月前倒しの完了で、今後の焦点は、30年超をかけて原子炉を解体する廃炉
と、約11万人の避難住民の早期帰還の支援策に移る。

 

これと言った政治的な成果を収めていない野田首相にとって、年内に何らかの成果を
欲し、原子炉の冷温停止状態の達成に目を付けたのではないか。野田首相の記者会見
を受けて、海外のメディアは宣言の信ぴょう性を疑問視する見方や、完全な収束には
相当な時間がかかるという見方を伝えている。また、同様の見方をしている避難住民
も多いのではないだろうか。「原発の事故そのものは収束した」と述べ、今後の課題
として「除染」「健康管理」「賠償」を挙げたわけだが、除染費として何処まで国が
負担出来るのかは定かではない。民主党マニフェスト同様に、除染費も財源不足で
満足に予算を付けられないのでは、正に裏切りそのものである。