前田武志国土交通相は22日の記者会見で、八ッ場ダムの本体工事経費を12年度予
算案に計上し、建設を再開すると正式に表明した。民主党前原誠司政調会長は同日
の記者会見で予算計上に反対を明言したが、野田佳彦首相は国交相の決定を追認する
見通し。八ッ場ダムの建設中止は民主党が09年衆院選マニフェストに明記し、民主
党政権の初代国交相に就任した前原氏が中止を表明した政権交代を象徴する政策だが、
2年間の迷走を経て、民主党は公約撤回に追い込まれた。

 

前田国交相は会見で「マニフェスト通りの結果が得られず残念だが、苦渋の決断だ。
代替案がないまま事業を中断するのはよくない」と説明し、「3代、4代にわたり地
域の生活、人生に犠牲を強いてきたことは誠に申し訳ない」と地元住民に対して陳謝
した。しかし、今さら謝られても住民は困惑するばかりであろう。こうしたマニフェ
スト破りを平然とやってのける民主党には本当に呆れる。代替案が無いままに一方的
に中止を表明するなど、あってはならないことだ。そして、何の総括もされないまま
になし崩し的に建設再開を決めてしまう。これが政治主導の正体だとすれば、百害あ
って一利なしと言わざるを得ないだろう。