政府が24日に閣議決定した2012年度予算案は、実質的な予算規模が96兆69
75億円と、当初予算段階で過去最大となった。政府は年明けの通常国会に提出する
が、ねじれ国会の下、攻勢を強める野党が今年に続いて予算関連法案の反対に回るの
は確実な情勢だ。最大の課題である消費税率引き上げの具体化も目前に迫り、野田首
相は正念場を迎える。予算案の決定を踏まえ、政府・民主党は週明けから、消費増税
を含む社会保障・税一体改革の素案取りまとめに向けて大詰めの議論に入る。政府は
「13年10月に8%、15年4月に10%」案を軸に協議し、野党の合意も得て、
来年3月までに関連法案の国会提出にこぎつけたい考えだ。

 

一般会計としては当初予算は約90兆円となったわけだが、その枠外に東日本大震災
の復興予算3兆7754億円の特別会計を新設、さらに基礎年金の国庫負担割合を5
0%に維持するための財源2兆6千億円を、一般会計に計上しない「年金交付国債
で賄うという隠れ「借金」が存在する。特に深刻なのが、基礎年金の国庫負担割合を
50%維持するための念金交付国債ではないか。物価の下落により、公的年金が本来
より2.5%高い水準で支給されている問題も事実上先送りし、あれほど自公政権
年金で攻め立てていた民主党も、年金について真剣に議論してきたとは思えないのだ。
予算の大半が国債で賄われている事態は、いつになったら解消されるのであろうか。
消費税率の引き上げで、消費税は確保できても他の税収が下がれば、まったく意味が
ない。野田政権の覚悟が問われている。