国会は31日から、衆参両院の予算委員会を舞台に質疑が行われ、与野党の本格論戦
が始まる。自民、公明両党などは、先の内閣改造で入閣した田中直紀防衛相の「資質」
に加え、年金制度改革や、東日本大震災で設置された政府の会議が議事録を作成して
いなかった問題を取り上げ、野田政権を揺さぶる構えだ。野田佳彦首相の施政方針演
説に対する代表質問は、30日の参院本会議で終了。31日は衆参予算委で半日ずつ、
環太平洋連携協定や外交問題などをテーマに集中審議を実施する。野党側は、米軍普
天間飛行場の移設工事の年内着工に言及するなどして沖縄の反発を招いた田中氏を追
及。安全保障分野に精通しているとは言えない田中氏を起用した首相の責任もただす。

 

通常国会は当面、野田政権が野党の攻勢に晒される日々が続くことであろう。問責閣
僚である一川氏を更迭して、熟慮して選んだはずの田中防衛相は普天間基地の移設問
題と言うあまりにデリケートな問題で躓いた。鳩山政権が退陣するきっかけとなった
問題だけに、慎重な対応をしなければならないのは誰の目にも明らかである。少なか
らずいたであろう移設賛成派を総崩れとなり、結果的には普天間基地が固定化してし
まう恐れすらある。そう言った最悪のシナリオに向かいつつある中で、なぜ安全保障
に詳しい議員を起用しなかったのか。輿石幹事長が押さえる参院枠に配慮した結果で
あるのなら、もはや話にならないだろう。