31日の参院予算委員会集中審議は、初入閣の田中防衛相に質問が集中し、田中氏は
言い間違いや事実誤認の答弁を連発した。田中氏は陳謝を繰り返す一方、委員会室か
ら一時行方不明になるなどし、審議はたびたび中断した。この日の集中審議は、外交
・防衛問題が主要テーマの一つだった。田中氏は、陸上自衛隊南スーダンでの国連
平和維持活動に関連し、陸自を警護するのはどこの国の部隊かを問われ、「決まって
いない」と答弁。直後に渡辺周防衛副大臣が「バングラデシュだ」と答弁すると、「
理解してなかったことは大変申し訳ない」と陳謝した。この他にも、在日米軍の抑止
力に関する答弁などを野党が問題視して審議が中断した。

 

いったい誰が田中氏を防衛相に推したのであろうか。担当閣僚に安全保障が疎いよう
では、他国に付け入る隙を与えることになりかねないだろう。さらに審議中、与党理
事にも無断で途中退席し、「風邪気味で鼻水が止まらず、薬を持ってこさせた。大変
申し訳ございません」と平謝りする羽目に陥った。外交・防衛問題が主要テーマとな
る以上、防衛相が不在では話にならない。渡辺副大臣を昇格させれば、それで良かっ
たのではないかと誰もが思うのではないか。党内融和を閣僚人事より優先させたので
あるなら、野田首相の見識を疑う。不適切な人事をすれば、結局は野田政権の土台を
揺るがし、野党の攻勢を誘うだけである。