野田佳彦首相は20日、岡田克也副総理が自民党幹部に大連立を打診したことについ
て「事実に基づいた話なのか」と事実関係に疑問を呈した。その上で「なんか怪文書
みたいな話だ」と述べ、現段階での大連立に否定的な考えを示した。首相公邸で記者
団の質問に答えた。首相は同時に、与野党協議に関し、消費増税関連法案を念頭に「
いろいろなチャンネルを使ってやるべきだ」と強調。「その行き着く先に何を描くか
はあるが、今は法律や予算を通すためにどうすればいいかだけを考える」と述べ、当
面は2012年度予算案や月内に提出する方針の消費増税法案の早期成立に向けて全
力を尽くす考えを示した。

 

大連立について火消しに走る民主党だが、さすがにその姿は滑稽としか言いようが無
い。「消費税はどの内閣でも先送りのできない待ったなしの状況だと思っている。そ
れを実現するための思いは不退転の決意」と述べたにしては、その決意が少しも見え
てこないのが野田政権の実態である。大連立が実現すれば数の力で、一気に正面突破
が出来るのは確かだろうが、民主党の退潮を見透かした自民党が協力するわけもない。
いわゆる「話し合い解散」でも、せいぜい出来るのは消費税率の引き上げくらいであ
ろう。八方ふさがりの状況に、大連立を持ちかけたところで実現もしない。沈みゆく
船に誰も乗ろうとしないのと同じことである。