野田佳彦首相は30日、民主党本部で小沢一郎元代表と会談し、消費増税法案への協
力を要請した。しかし小沢氏は増税の前に地域主権を目指した行政改革社会保障
理念の実現、日本経済の再生などが必要だと主張、法案への対応で合意を得ることは
できなかった。今国会の会期末まで1カ月を切るなか、2回目以降の会談は決まって
おらず、与党内の合意形成は不透明さを増している。こうしたなか、前原誠司政調会
長は「しかるべき段階では与野党協議を始めたい」としており、修正協議で野党側の
協力を得て法案成立への道筋を探る展開となってきそうだ。

 

ようやく実現した野田首相と小沢氏の会談。小沢氏は「消費増税の前に政権としてや
ることがあるというのが、国民の気持ちではないか」と野田首相が政治生命を賭ける
とまで言った消費増税に明確な反対の意思を示した。さらに「大増税の前にやるべき
ことをやるのが、民主党政権の責任だ」と野田首相の姿勢を否定し、今回の会談では
協力を仰ぐどころか立場の違いが明らかになったに過ぎないようだ。このまま小沢氏
のペースに野田首相が乗ってしまえば、今国会に消費増税法案を提出するのは果たせ
ないのではないか。そもそも会談する、しないを小沢氏に握られているのでは、野田
首相の主導権は無いに等しい。それに気が付かない野田首相ではあるまい。