新潟県南魚沼市のJR上越新幹線浦佐駅。人影もまばらな出口を通り抜けると、駅前
ロータリーの脇に、右手を額のあたりまで掲げた元首相田中角栄銅像が威容を誇る。
衆院選公示日の4日、7選を目指す民主党田中真紀子は父の像の前に立つと、開口
一番、地元の道路建設に触れ「6億5000万円の事業費を付けた。公共事業をしっ
かりやっている。どこかの党でなければやらんなんてことはない」と、独特の「真紀
子節」で訴えた。

 

民主党自民党世襲議員の多さを批判していたはずだが、野田内閣の閣僚にもまた
世襲議員がいたのは皮肉である。元首相の地盤を引き継ぎ、盤石かに見えた田中氏だ
ったが、自民党を離れてからは田中王国も足元がグラつき始めている。元首相の後援
会「越山会」が築き上げた従来の集票システムは崩壊し、今回の衆院選では、旧越山
会幹部が自民党長島忠美の支援に回っている。田中ブランドだけで勝ち抜けるほど
甘くは無いだろう。前回は断った連合の支援を受けたのも、さすがにまずいと尻に火
がついた結果ではなかろうか。