集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈変更の閣議決定をめぐり、訪欧中
安倍晋三首相は、同行記者団との懇談で公明党への配慮をのぞかせた。成
長戦略や経済財政運営の指針「骨太方針」の策定など、今国会中に公明党
協力が必要な政策課題が多く残されている中、挑発は得策ではないと判断し
たようだ。ただ、閣議決定を急ぐ姿勢に変わりはなく、それを見透かしてか、
公明党も警戒感を緩めていない。

 

公明党がいくら平和の党を標榜しようとも、過去にイラクへの自衛隊派遣を
認めた「実績」がある以上、何処かで折れるだろうと安倍首相は見越してい
るのではないか。反対姿勢を取るのも対外的なアピールのためで、ある程度
の反対を続けたら、適当な条件を付けて賛成に転じる。公明党にとっては、
見せ場が必要なのだろうが、それこそ不毛そのものである。下駄の雪として
自民党に付いていく、そのような覚悟を決めた方が楽ではないか。