今年に入ってから読み続けてきた司馬遼太郎氏の「翔ぶが如く」(全十巻 文藝文
庫版)をもうすぐ読み終えようとしている。いまいち司馬ファンの間では評価の低
い作品であるが、日本最後の内戦である「西南戦争」と士族勢最後の徒花が見所で
ある。「竜馬がゆく」を読んだ後に読み始めたため、自分としては時系列的に好都
合でもあった。

 

征韓論を経て台湾出兵があり、清国との瀬戸際外交を切り抜け、不平士族の反乱、
そして西南戦争へと至る過程は、歴史物としては痛快と呼べるような場面はないか
もしれない。淡々と時系列をなぞる書き方が低評価につながっているのだろう。い
わゆる武士道を持つ士族と百姓兵と侮られた鎮台兵の対比は後の帝国陸軍へと繋が
る系譜であり、「坂の上の雲」で一応の集大成を見ることが出来る。

 

歴史が面白いことを認識させてくれたのが、自分にとって司馬遼太郎氏であった。
とかく中韓との歴史論争に辟易とさせられる中で、雑音を遠くにやるには最適の本
ばかりである。お勧めとしては、時系列順に読むことが楽しむ秘訣。手当たり次第
に読んでも余り得るものはない気がするので。(個人的には)