山本七平著の「日本人とユダヤ人」というユダヤ人の目から見た日本人論的な
内容の本がある。発売当初はイザヤ・ベンダサンなる一ユダヤ人が著し、山本
七平訳となっていたものの、実際は山本七平の著作であるというのが山本の夫
人や子息の証言で明らかになっている。(角川新書版では山本七平と明記され
ている)そのあたりのことは割愛する、はてなのキーワードを見て欲しい。

 

これを読み返していて思うのが、本書ではユダヤ人の立場から「日本人は水と
安全は無料で当然だと勘違いしている」としているが、水と安全がもはや無料
ではなくなったこのご時世だからこそ、再認識すべきことが書かれており30
年も前に日本の安全保障面に警鐘を鳴らしていたとも言える。まぁ水道水は相
変わらずタダみたいな(他国に比べれば)料金であるが、わざわざ美味い水を
求めて遠出したり、外国産のミネラルウォーターを買ったりと、確かに無料で
手に入る水にはそっぽを向いているかもしれない。

 

中東という民族・宗教も入り混じった中で、国を亡くし他国に捕囚され、20
世紀には民族もろとも計画的に「消滅」させられそうになったりと、海という
天然の要害に囲まれた島国で平和を享受してきた我々には、とうてい理解の出
来るレベルの話ではない。少なくとも我が国固有の元号がありながらも、何と
なく西暦を使用していたりする滑稽な部分は、ユダヤ人だけでなく他国を見習
って「修正」出来るものではなかろうか。

 

なお、宗教学者浅見定雄によって書かれた「にせユダヤ人と日本人」という
批判本もあるので紹介しておく。(以上、敬称略)