食品の偽装表示問題に揺れ、経営再建中の高級料亭「船場吉兆」の湯木佐
知子新社長は21日、本店が22日に営業を再開するのを前に記者会見し、
「失われた信頼の回復に向け、従業員一丸となって一から再出発したい」
と述べた。船場吉兆は、本店で牛肉の産地偽装が発覚して以来約2カ月に
わたり休業していた。全4店舗のうち博多店は再開に向け協議中、心斎橋
店と天神店は撤退する。女将の佐知子氏は創業者の三女で、湯木正徳前社
長の妻。一族が引き続き社長を務めることについて、佐知子氏は「お客や
従業員との関係を考えた場合、わたしが就任して最善を尽くすのが一番」
と答えた。佐知子氏は自らの偽装への関与を否定。正徳氏や長男の喜久郎
前取締役、二男の尚治前取締役は経営から完全に手を引くという。

 

老舗の高級料亭が手を染めていた食品の偽装表示。高いもの=品質の良い
ものと考えてはいけないと言うことを改めて教えてくれた事件であった。
失われた信頼はあまりに大きく、これを挽回するにはひたすら低姿勢を貫
く他はあるまい。創業者一族が前面に出てくることに違和感を憶えないで
も無いが、立て直せるのであれば誰が出てこようが関係無いとも言える。
高級料亭の看板を掲げる以上は、それなりのものを消費者に提供しなけれ
ば「吉兆」の看板は意味の無いものとなる。2カ月間も休業していたこと
で、財政事情は相当に逼迫しているであろうが、もはやなりふり構ってい
られる状態ではないのだ。経営資源を本店のみに集中した上で、生き残り
を図るのが前提である。最初に偽装を行った人間は、自分の行為が後にも
たらす破局を予想出来ていたのであろうか。偽装をすることは、消費者を
裏切るだけで無く、会社の未来そのものを潰すことと同義である。