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2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の整備計画に
ついて、価格交渉などの整合性を審議する技術提案等審査委員会の初会合が17日、
東京都内であった。業者に示す募集条件、提案内容の評価、価格の妥当性という3段
階でチェックする方針を確認した。建築や景観の専門家7人で構成される審査委は、
工事発注者の日本スポーツ振興センターの外部委員会として設置。旧計画で総工費が
大幅に膨らんだ反省を受け計画を主導する政府の関係閣僚会議が新設を決めていた。
コストを理由に白紙撤回した以上、重視されるのは総工費なのは分かるが、かと言っ
て安かろう悪かろうでは、負の遺産として後の世代に迷惑をかけることになるだろう。
審査委員会の村上委員長は「大きな方針を閣僚会議で決め、我々が要望を具体的に落
とし込む形になる」と述べて、工期と工費の圧縮を実現した上で、「安かろう悪かろ
うではだめ。質を担保できるようにチェックしたい」と語っており、きちんとした計
画を作成して欲しいものだ。失敗から学べるのも、また人の特性の一つなのだから。
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中国・天津市の「浜海新区」の爆発事故は15日、死者数が104人に上った。現場には
多量のシアン化合物が残っている疑いが浮上し、当局が処理のため周囲3キロを立ち入り
禁止にするなど緊張が続いている。爆発が起きた危険化学物質の貯蔵施設が住宅地の近く
に造られるなど、「人災」との批判が強まっている。死者数は国営新華社通信が同市の情
報として伝えた。12日の発生から、14日夕までに現場の火災がほぼおさまり行方不明
者の捜索が本格化。犠牲者の数が一気に増えた。今後もさらに増える可能性がある。
天津は世界第4位の貨物取扱量を誇る国際港だったが、税関施設は大破し、通関業務に大
きな影響が出ているようだ。約1万7千戸の民家と約1700の企業、675の商店に損
壊などの被害が出ており、死傷者の数は膨らむばかりだ。爆発の威力は21トンのTNT
火薬に相当するとされ、文字通り一つの地区を壊滅させてしまった。この復旧には相当な
時間がかかるだろうが、果たしていったい何が原因だったのだろうか。ここまで被害をも
たらす危険物質を貯蔵するには、相応の施設が必要であろう。中国政府に批判の矛先が向
く可能性が出てきている。
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安倍晋三首相が発表した戦後70年の談話について、1995年に首相談話を出した
村山富市元首相は14日夜、地元の大分市内で記者会見し、自身の談話が「引き継が
れた印象はない」との認識を示した。戦後50年の村山談話について、安倍首相は「
全体として引き継ぐ」と説明してきた。村山氏は会見で、安倍談話について「(村山
談話を)否定もしていないし、踏襲もしていない。出す必要はなかった」と指摘。「
焦点がぼけて、さっぱり何を言いたかったのか分からない」と切って捨てた。
いわゆる村山談話は「談話」以上の重みを持って、後の首相たちを縛り続けている。
村山氏はそこまで考えていなかったと思うが、いつの間にか不磨の大典として、一部
の勢力に担ぎ続けられている。焦点となったのは、やはり「おわび」の表現なのだが、
村山氏は「何をおわびしたのか不明確だ」と批判している。しかしながら、戦後70
年も経ち、いつまでおわびを続けるのか、と言った声も無視できない。そう言った流
れを断ち切る談話にはなったのではなかろうか。
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北方領土の択捉島で13日、ロシア政府が主催する全ロシア青年教育フォーラムの開
会式が開かれ、極東連邦管区の大統領全権代表を務めるトルトネフ副首相が出席した。
日本政府は同日、外交ルートを通じて、ロシア外務省と駐日モスクワ大使館に抗議し
た。ロシア閣僚の北方領土訪問は、7月の保健相以来。メドベージェフ首相がフォー
ラムの期間中に訪れる可能性もある。
クリミア半島の併合を強行したことによって、ロシアは国際社会から孤立しているが、
今度は我が国に対して揺さぶりをかけてきている。政府は年内のプーチン大統領訪日
を目指している中、副首相が敢えて北方領土を訪問する。明らかな挑発行為は粛々と
抗議をして過剰な反応はしない、そんな姿勢が見えてくるが、それだけではロシアの
挑発は終わらないだろう。北方領土問題の解決に向けて、プーチン大統領を何とか引
きずり出したいのだろうが、それがロシアの策でもあるのだろう。
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民主党の細野豪志、維新の党の今井雅人両政調会長が12日、国会内で会談し、政府
の安全保障関連法案の対案をめぐり協議した。グレーゾーン事態に対処する領域警備
法案など3法案について、協議を進めることで合意。ただ、参院への共同提案につい
ては温度差があり、不透明だ。会談後の会見で細野氏は、「維新案と(民主党案)は
かなり近い。しっかりまとめたい」と語った。一方、3法案の提出については「最終
的に岡田克也代表を含めた党幹部の判断になる」と述べた。
今井氏は「民主党内で意見集約してもらい、共同で作ったものは出していきたい」と
述べ、共同提案に意欲を示しているが、肝心の民主党が乗り気ではないようだ。共闘
には程遠い状態だが、野党再編に前のめりになっている細野氏と、自主再建を目指す
岡田氏がまるでかみ合っていない。岡田氏が細野氏をしっかりとコントロール出来れ
ば、先走った行動はさせないであろうし、その逆もまたしかりであろう。民主党は逆
境にあることを忘れたのであろうか。
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民主党の細野豪志政調会長は11日の会見で、政府の安全保障関連法案への対案をめ
ぐり、維新の党の今井雅人政調会長と12日に会談することを明らかにした。参院で
の野党共闘を進め、安倍政権を牽制する狙いがある。11日に行われた民主党の「次
の内閣」で、核や化学兵器などの輸送禁止を盛り込んだ周辺事態法改正案の要綱が了
承され、維新側と協議する環境が整ったと判断した。細野氏は「維新の法案と考え方
が近い。しっかり連携していきたい」と述べた。
民主党が維新の党に秋波を送るのは、野党再編と言う旗印を民主党が持っていたいの
であろう。確かに野党第一党は民主党かもしれないが、その第一党がしっかりとして
いないから、一強他弱の状況を許しているのではないか。一方の維新の党も相変わら
ず一体感が無く、いずれ分裂に追い込まれるだろう。野党が勢いを失えば、与党を助
けるだけのことだ。奇しくも安保法案を巡って野党が共闘する中、野党再編は一気に
進む可能性が出てきたのではなかろうか。